酷暑前提の働き方で現場に夏休み導入も

 2025年の夏も猛暑に見舞われた。現場ではファン付作業服や水分補給、休憩所のエアコンなど万全の対策を講じるが、従来の方法では限界に近付いている。
25年から熱中症に対する事業者責任が強化され、暑さ指数(WBGT)測定や作業員の体調管理など、事業者負担は増す一方だ。暑さ指数が基準値を超えれば作業中断などの措置も必要になった。

 いっそうのこと真夏日が続く地域の現場には、夏休みを導入すればどうか。小中学校などのように7月や8月の酷暑期は原則休工とし、その分の作業を春・秋・冬に振り分けるのだ。休工中は安全教育や研修、計画立案など現場以外の業務に充てれば、命を守りつつ生産性も図れるように思う。
 もちろん作業員らの収入減の懸念はあるが、コロナ禍で導入した雇用調整助成金のような仕組みを応用し、国の支援制度を整えれば現実味が出る。高齢化が進み若者の入職も少ない建設業こそ、「暑さに耐える」から「暑さを避ける」へと発想を転換すべきではないか。

 温暖化が止まらない状況が続けば、夏の気温は今後もさらに上昇するだろう。酷暑を前提とした新しい働き方を建設業界全体で考える時期に来ているように思う。

この記事は「2025.10.16 NIKKEI CONSTRUCTION」に取り上げられました。

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